主事だより
心の旅路を見つめて 堀 肇氏
第11回 「有用性よりも存在のしかた」こそ (1)
中高年には孤独感が
中高年を巡る深刻な心の悩みの一つは、現代社会が中高年にとって生き辛い時代になっているということです。それは自殺率の高さにも象徴されています。年間三万人にも及ぶ自殺者の内、60歳以上が全体の三割を越えトップです。なぜこのように中高年の自殺が多いのか、その原因や理由は単純ではありません。そもそも中高年期は他の時期と比べて生の条件が著しく異なり、肉体的、精神的な衰えもあり生きるエネルギーが下降します。こうした状態に加え、現代社会固有の強度の心理的・社会的ストレスが背景にあると考えていいでしょう。経済問題はもとより自立することが長引く子ども達の問題、また老いを抱えての親の介護(老々介護)や自らの健康問題など、ストレスは重層的です。
このストレスというものは厄介なもので、蓄積されますと心身を疲労させ、うつ状態を引き起こし、心身症はもとより、うつ病発症のきっかけともなります。これらが直ちに自殺願望に繋がるわけではありません。しかし留意しておきたいことは、現代の中高年はうつ感情が発症するほどの精神的環境下にあることに加え、近年ますます希薄になってきた人間関係が人の心を孤独へと追いやっているという深刻な現実があるということです。このようなうつ感情と孤独感は心身とも健康な中高年であっても、現代では彼らの誰もが多少なりとも心に抱えている普遍的な課題ではないでしょうか。
孤独を癒す温かな関係を
人は喪失感や孤独感に陥り、その程度が深まりますと、見捨てられているような感覚に襲われ、自分の生きる意味や存在価値を見出せず、精神的な危機にさらされることにもなります。現代はこのような「見捨てられ感」の伴った孤独感が人の心を覆っている時代と言ってよいでしょう。孤独を巡る問題は若い人たちも抱えていますが、前述のような様々な問題が重なる中高年にとっては深刻な心の課題なのです。
執筆してくださっていた堀 肇氏は2023年5月28日に突然肺炎のために天に召されました。
CLSK、牧会塾、牧会ステーションにおいて私たちを導いてくださっていました。
大きな驚きです。寛子夫人、ご家族、教会の皆さまに主の慰めがありますようにお祈りいたします。